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第258号 愛蘭(アイルランド)動物本草 その1

愛蘭動物本草の原題は、Zoologia Medicinalis Hibernicaです。

Zoologia Medicinalis Hibernica or Treatise of Birds,Beast,Fishes,Reptiles,or Insects,
which are commonly known and propagated in this Kingdom:
giving an Account of their Medicinal Virtues,and their Names in English,Irish,and Latin.

Zoologia Medicinalis Hibernicaは、ラテン語で、アイルランドの動物薬です。
(Zoologia  は、動物学。 Medicinalis は、薬。 Hibernica は、アイルランドの。)
即ち、鳥類、獣類、魚類、爬虫類と昆虫類 の薬用について述べています。
そこで、「愛蘭(アイルランド)動物本草」としました。
著者のジョン・キーオ John K'eogh(1681年頃~1754年)は、名誉神学博士 で博物学者。
この本以外に、薬草などについての著作があります。

「愛蘭(アイルランド)動物本草」は、1739年にアイルランドのダブリンで出版されました。
この本は、内容そのものも特異ですが、その他いくつか変わった点があります。
生薬の名称に、英語、ラテン語のほかにアイルランド語が表記されています。
大変面白いことに、前書きの後ろに、この本の予約者の名前が書かれています。
そして、名前の前に、ミスター、サーなどの称号がついているので、予約者の社会的地位の一端が覗えます。

1931年に、アイルランドは、何百年にわたるイギリスの支配から、やっと独立しました。アイルランドの国語は、建前は、ケルト系の言語であるアイルランド語です。
残念なことに、現在では、アイルランド語を話せる国民はほとんどいない状態になっています。イギリスによる支配で、英語しか話せないようになってしまいました。
アイルランドは、ジョン・キーオ John K'eoghの生きていた時は、イギリスの植民地でした。(今は、文化的な植民地。)
この本の出版された1739年頃には、まだ、多くのアイルランド人が、母語を話せたのではないかと思います。
しかし、ヨーロッパでは、文学、医学書などの専門書、神学など、多くの出版物は、何語で書くのかが、問題になります。
人口の少ない民族・国家に属している人は、民族語、自国語で書くか、周辺の大国、主要民族、またはラテン語などで書くのかを、決めなければなりません。
私たち、日本人、もしくは日本にいる外国人は、大体日本語で書くことに、悩むことは無いでしょう。
自国語(民族語)で、考え、自国語(自民族語)で本を出版できるのは、意外に少ないのが、実情です。

愛蘭動物本草の著者のジョン・キーオ John K'eoghは、アイルランド語で、出版できないことに、複雑な思い出いたことでしょう。せめて、生薬名にだけアイルランド語を入れたのでしょう。
アイルランド語で書いたら、読者が限定され、出版することすら出来なったでしょう。
或いは、アイルランド語の出版は禁止されていたのかも知れません。仕方なく、支配者、抑圧者であるイギリスの言葉で書かざるを得なかったのでしょう。

J ジョン・キーオ ohn K'eoghは、滅び行く、動物薬について、記録を残したかったのかも知れません。

私は、近世のヨーロッパの、虫類薬の資料を探しているうちに、この愛蘭(アイルランド)動物本草を見つけました。
同時代の、植物性生薬の資料は、多く見られますが、虫類を含む動物薬は、稀です。
John K'eoghは、イギリス本土を含む他国には、動物を薬とする文化があまり多くないことに気が付いていたと思います。
それに反して、アイルランドでは、多くの動物が薬として使われていたことに気が付いていたのでしょう。
そして、消えてしまわないうちに記録しておこうとのとの気持ちが、心のどこかにあったのではないかと思います。

以下に、この愛蘭動物本草に収載されている、動物薬を列記します。
原典では、英語名のアルファベット順になっていますので、それに従っています。
日本語、英語、ラテン語の順に列記しました。アイルランド語は省きました。
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第257号 広文庫における「蛭」の記述 その2

田蛭  
『延暦儀式帳』
五十鈴川(原文では、伊鈴の御川)より、水を引いた(神の)田では、(肥料としての)苗草を敷かない。
・・・・・・五十鈴川から水を引いた田には、 田蛭は、穢れであるので、田蛭を我が神の田には住ませてはならない。
それで、今の世には、(肥料としての)苗草を敷かないので、田蛭も住んでいない。
(注:難解な文なので、一部省略しました。
水田に苗草=なえくさ、を肥料として与えると、蛭がわくとして、このように、神の田には苗草を敷かない、となったのでしょう。五十鈴川は、伊勢神宮の傍らを流れている川で、神聖な川です。)


馬蛭
『和名抄、十九』
馬蛭 本草に、馬蛭と云う。別名を馬蜞(和名は、むまひる)。蛭の大きいものである。

『桃洞遺筆、肇輯、三』
清の韓則癒の「雁山雑記」に云う。雁山の春夏には、馬蜞が多い。物を毒し、よく人を噛む。血が流れて止まらない。
焼いた竹葉でもって、傷に塗れば、血はたちどころに止まる。
今、淡竹葉を焼いて、試してみると、非常に効果があった。
馬蜞は、別名を馬蛭、和名をウマビル(古名)、またクマビル(今の名)と云う。梅雨に多く出る。
大きいのは、三、四寸ばかりもある。

山蛭
『本朝奇跡談、二』
伊勢の国にある、紀州藩の領内田丸領間弓村の中に、唐子谷という所に、猪草淵という、交通の大難所がある。
普通の通路の途中に、幅十間ばかりの川がある。その川の上に、杉の丸太をかけてあてって、人が往き来する。
橋の高さは、川より十間ほどである。この橋の上を渡るのは、非常に危険である。
橋の下は、青々とした淵で、深さがどの位あるかわからない。
このあたりに、山蛭という虫がいる。手足に取り付いて、人を悩ませる。
また、壁虱(ヘキシツ:ダニのこと)という蟲が多い。これまた、体に取り付いて害をなす。
全てこのあたりは、下等な未開の土地であり、住民の男女の見分けがつかないほどである。

『煙霞錡談、一』
夏秋、暖かい季節には、山蛭が甚だ多い。
「蛭の地獄」という言葉があるが、極寒の季節には、蛭を用意できるのだろうか、と疑問に思う。
この山に限らず、猿の住む山には、山蛭がいる。それは、山蛭は猿の糞から生じるからである。

青蛭
『翁草、六』
北高麗にある泥海に犬を追い込むと、青い蛭が犬の毛にまとわりつく。それを取って干すと、「緒じめ」となる。
これを、「蟲の巣」と称する。
それを取ってから半年のうちに「緒じめ」に水分を与えれば本の蛭となる、と云う。


草蛭
『和名抄、九』
草蛭、本草に云う草蛭のことである。和名、かさひる。蛭の草上に在るものである。

木蛭
艮斉間話、上
ある人云う。伊豆は木蛭の多いところである。人の声を聞けば、樹上より続々として来、人を噛む。
その鋭い口は、錐のように鋭く、血が流れ出ることおびただしい。恐るべき毒虫である。
この「蛭が小島(現在の静岡県伊豆の国市)」には、特に蛭が多いので、名づけられた。
昔、平清盛は、頼朝をここに配流して、木蛭の毒で害しようとした、と聞いた。
本当のことかもしれない。
清盛が頼朝を殺さずに配流し、後になって、平家が滅亡させられた。
それは、清盛の大いなる誤りであった。


蛭を治療に用いる。
『西国事物紀原、二』
水蛭を治療に用いたのは、古代ローマの医師的米孫(テミソン)が始めである。テミソンはキリストと同時代の人である。


以上で、広文庫における「蛭」の記述、終わり。


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第256号 広文庫における「蛭」の記述 その1

明治時代に刊行された、広文庫は、一種の百科事典であって、各種の事物について、和漢の古典を引用しています。なかには、面白い記事もあります。
今回は、蛭について、紹介します。

ひる(蛭) 

『和漢三才図会』
昔、ある人が、道の途中で水を飲み、水草も食べた。誤って、蛭を飲んだ。蛭は腹に入って子を産み、害をなした。内臓の血を吸われ、腸が痛み、顔は黄色くなり、痩せた。
(このような場合、)路泥を以って、或いは黄土をすり潰して、数升の水を飲めば、必ず下って出るものである。
蛭は、人の腹にあって、土の気を得れば、下るものである。
○按ずるに、蛭は、水中にいて湿生のものである。海帯や昆布が、雨水に永く浸かっていると、共によく、蛭に成るものである。
性は、石灰、食塩を嫌う。試しに、塩を蛭にかけると、たちまち縮んで死んでしまう。
(注:和漢三才図会の、内容は、間違っています。昔は、蛭を飲み込んでも、蛭は死なずに、腹中で子供を産んだり害をなす、と考えられていました。これは、回虫、肝臓ジストマ、アニサキスなどの寄生虫と混同されたことから来たものでしょう。また、昔は、蛭とか、ハエとか、小さな生き物は、何かの無生物が変化して生じた、とも考えられていました。)

『和名抄、十九』
水蛭(スイテツ)、本草には、水蛭という。和名は、ヒル(比流)。

『和訓栞、前編』
「ひる」、「水蛭」は、水中の泥に居るのでこの名がある。「うまびる」は、「馬蜞」である。「こうがいびる」というのは、「土蟲」のことであると云う。「山びる」というのは、深山に多く、よく人を悩ます。梢より落ちてくるものである。「木蛭」、「草蛭」、などとも呼ばれる。石の上に居るのを「石蛭」とする。延暦儀式帳には、「田蛭」という。

『新著門集、三』
京都の新町通り出水上る町に、大文字屋 代宗という、大金持ちが居た。常日頃から、大変なけちで、世人から眉をひそめられていた。
ある時、代宗の家で、仏事が行われた。
すると、何かを恵んでもらおうと、乞食が数十人集まった。
代宗は、使用人に、器に米を山盛りにして、家の前の大きな溝に投げ捨てさせ、泥水とかき混ぜさせた。
そして、乞食たちに、「こんなように捨てても、お前らには、何も与えないぞ、早く帰れ。」と言った。
乞食たちは驚いて、ぶつぶつ言いながら帰って行った。

その後、時がたち、代宗は、死んだ。
中陰(死後の49日間)に、近い身内の夢に、嵯峨の広沢の池に来てくれ、と代宗が夢に出てきて懇願した。
これは、不思議なことであると、一族のものが一緒に行き、池の水際で語りあっていると、池から蛇が出てきて、車座の一同の中に、入ってきて、とぐろを巻いて座った。涙を流しているのを見ると、首の周りに小さい蛭が、蓑をきているようにびっしりと、取り付いていた。
これは恐ろしいことだと、蛇を器に入れて、家に帰って、丁重に葬った。

非常に悲しく、不思議なことがあったものだ。

『遠山著聞集、二』
秋葉山奥の院から百五十町を行くと、行き来する人が稀になる。ただ峰をつたって歩いて行くと、木々が茂って、ほとんど日が見えない。夏の暑い頃であったも、肌寒い。三月より十月までは、蛭が多く、茂っている木々に覆うように沢山居て、人の足音が聞こえると、蛭が皆、頭を下にして人に飛びついてくる。衣服を通りくぐって、血をすい、人は血だらけとなる。

『本朝俗諺志、三』
土佐の国、安喜の近所、井沖村の蛭は、人を噛む、弘法大師が手ののせた時にも、手を噛んだ。それで、弘法大師が、虫の口を封じた、と云う。
(注:恐らく、井沖村の蛭は、人の血を吸わない、という迷信があるのでしょう。それは、弘法大師の霊力のおかげである。これも、弘法大師の伝説の一つでしょう。)
小溝一つ隔てた隣の村では、世の常の如く(注:普通に血を吸う)であるとのことである。

『古今医統、七七』
昔、ある人が、夜間に水を飲んだ。誤って、蛭を呑み込んだ。腹に入って、しばらくすると、蛭が子供を産んだ。小さな蛭は、人の、肝血を食べ、耐え難いほど腹が痛んだ。顔は黄色くなり痩せて、まったく食べられなくなる、治療できなければ、必ず死ぬであろう状態になった。
これに対する処方は、以下の通り。
田んぼの泥の一かたまりと、小さな死んだ魚三匹、豚の脂を一緒に混ぜる。巴豆十粒の油を除いて、泥に入れる。これらを一緒にして搗き混ぜ、緑豆の大きさに丸める。田んぼの冷たい水を用いて、飲み下す。大人は、五から七丸、小児は三丸を飲ます。
すると、すぐに水蛭を下痢と一緒に、全て下す。
更に、八珍湯を服用させる。
(注:この症状は、肝臓ジストマでしょう。これに対する処方は、まじない程度でしょう。)

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第255号 福沢諭吉も ヒル吸血療法で、中風を治療

明治31年9月
福沢諭吉先生は、軽度の脳出血(中風)で倒れました。


先生の診察治療には、最高級の医師団があたっています。
北里医学博士、ドクトル ベルツ氏も診察に当たっています。
(この北里医学博士は、北里柴三郎先生のことでしょう。)


その医師たちが協議して、水蛭貼付法を施すことに決定しました。
直ちに、耳後ろの乳頭部に
水蛭(スイテツ:水生のヒル)30匹を貼り付けて、血を吸わせた。
その翌日、同じように水蛭30匹を用いて、吸血法を行った。


以上のことは、慶応大学の塾報に記載されています。
中風で倒れた時に、ヒルに頭部の血を吸わせることは、
一般的な治療法であったようです。
福沢諭吉先生は、「学問のすすめ」「西洋事情」などの啓蒙著作があり、
慶応大学の創設者です。


その治療に、古い伝統的な水蛭による、
吸血療法が用いられたことは、面白いことです。
現在では、ヒルによる治療法は、行われていませんが、
実際は、比較的安全で、有効な治療法ではないか、と思います。

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第254号 華岡青洲の秘方は、ミミズ、ハエ、カマキリ

華岡青洲の秘方は、ミミズ、ハエ、カマキリ  


「金創神書(きんそうしんしょ)」に見える動物薬


華岡青洲先生は、世界で初めて、麻酔による乳癌の手術をした医学者として知られています。
有吉佐和子先生の小説「華岡青洲の妻」およびそれを映画化したものでも知られています。



華岡青洲先生(1760~1835年)は、「青林軒」という病院兼医学校を作り、後進の教育にも力を入れていました。
弟子たちが、先生の口述を筆記しています。


多くの、処方、治療について述べていますが、門外不出の秘方となっており、
弟子たちは、外部に漏らさぬように、血判、署名をさせられています。


「金創神書(きんそうしんしょ)」もその一つです。
神書という位ですから、大変よく効く処方だったのでしょう。
「金創神書(きんそうしんしょ)」の末尾には、外部に漏らさないことを誓約させる、
血判、署名の欄があります。


その、華岡青洲先生の「金創神書(きんそうしんしょ)」に、いくつか動物薬、
虫類薬が収載されていましたので紹介します。
ミミズも、ハエも、カマキリも使われています。


金創(きんそう)とは、金属による傷のことです。刀創、包丁等による傷のことです。
華岡先生が、ミミズ、ハエ、カマキリなどの虫類薬を使って治療をしたとは、意外でしょうが、
秘伝の書に記載されています。


以下に、「金創神書(きんそうしんしょ)」所載の、動物薬を含む処方を紹介します。


◎金創(金属による傷)及び腫れている場合の奇方
処方:茄子のヘタの黒焼き、荊芥(ケイガイ)、鹿の角の黒焼き 各10銭
製法用法:以上を粉にして白湯で、3,4銭服用する。


注:奇方とありますので、標準的ではないが、よく効くというニュアンスがあります。
  黒焼きとは、一種の炭です、炭には、止血作用、創傷治癒作用があります。
  ナスのヘタの黒焼きは、歯槽膿漏に効果があるとして、少し前まで使われていました。 


◎突き傷の血止め薬の一つ
処方:鼠の赤子 10匹、灰石 一合
製法用法:以上を合わせて搗きつぶし、艾(もぐさ)を入れて、再び搗きつぶして乾燥させる。
     それを粉にして、患部に貼る。


◎切れた筋肉を治す方
処方:津蟹(ツガニ)のハサミ、羚羊角(レイヨウカク)、鹿の角の黒焼き
製法用法:以上の薬の同量を粉にして、白湯で服用する。


◎筋が甚だ痛む時に用いる方の一つ
処方:鮒のあぶら、テレメン(テレピンオイルのこと)
製法用法:以上の二つに蜂蜜を混ぜて、患部に貼る。


◎火傷の傷の方の一つ
処方:馬の油
用法:単味で塗っても良い。
注:馬の油、いま「バーユ」という名で、化粧品扱いです。ある程度は効くでしょう。
  しかし、華岡青洲先生の創製になる紫雲膏のほうが、火傷に対しては、はるかに、効きます。


処方:辰砂、石恙、馬の油
製法用法:以上のを練り合わせ、痛むところに貼ると、不思議と効く。


◎竹の棘が刺さったのを抜く方
処方:黒猫の頭の黒焼き
製法:上記を糊に混ぜて、傷口に貼る。


処方:鮭
製法用法:鮭を乾燥させて粉にして、患部に貼る。


処方:マツタケ、生栗、串柿 各黒焼き、鮫の皮
製法用法:以上に蓖麻子をすり潰したのを加え、練り合わせる。
それを患部に貼れば吸い出す物である。


処方:芭蕉の巻いた葉、蟷螂(かまきり)
製法用法:以上を水で煎じて服用する。


◎矢の根、鉄の針が肉に入って見えなくなった場合
処方:雌鹿の目、牛蝿、蟷螂(トウロウ:カマキリ)
製法用法:以上を糊で練り合わせて、患部に貼る。
     または、野鶏の足を粉にして、患部に貼るのも良い。


一晩で治癒する方
処方:搗き栗、梅ノ木の甘皮、蛞蝓(カツユ:ナメクジ) 各黒焼き
製法用法:以上を卵白で練り、患部につける。


◎脚気が急変した場合
処方:蚯蚓油 389銭、豚の油 570銭、 
製法用法:以上の二品を混ぜ合わせて器に入れ、二日放置する。
     その後、*蘞、チサ、馬歯莧、罌粟の葉、覇王樹、撮蝋 少し。
     以上を搗きつぶして練り合わせ、上記の二品と合わせて、
     葡萄酒を加えて練り、糟(かす)を取り去って用いる。


◎縛血散(はくけつさん)  花岡(華岡に通じる)先生の秘法である。
金創で出血して死にそうな患者、または衄血(じくけつ:鼻血のこと)、吐血にもよい。
処方:反鼻(はんぴ:乾燥させたマムシ)の黒焼き、 広参(こうじん・こうしん。田七人参)
(無ければ牛皮消でも可) 各2銭、紫檀、血竭(けっけつ) 各1銭、モグラの黒焼き3銭
製法用法:以上を粉として、患部に貼る。または、独参湯(どくじんとう)を5分または1銭服用させる。


注:田七は、傷や打撲に対してよく効きます。怪我で出血している時にふりかけると血が止まります。
  また、軽い痛みなら、痛みも止まります。
  ひどい出血、痛みの場合は、併せて内服すると、古書に記されているように、
  それこそ、たちどころに痛みが止まります。


◎打撲に
黄連湯
処方:犀角(さいかく:サイのツノ)、甘草、黄連、山梔子、生姜、当帰、芍薬、麦門冬
製法用法:以上を、水で煎じて服用する。


◎金創方の一つ
放平油方
処方:ミミズ 10匹、カタツムリ15匹
製法用法:ミミズを焼酎に浸して置く。その後、竹べらでミミズの内臓を除去して、切り、
     胡麻油一合の中に入れる。
     炭火で煎じて、量が30%ほど減るくらいで止める。(これが、蚯蚓油)
     次に、カタツムリを打ち砕いて、カラを取り去る。
     それを、胡麻油一合に入れる。(蝸牛油)
     上記の蚯蚓油6分に蝸牛油4分を加える。それを、方平油という。
     筋肉が急に痙攣して痛むときは、どの部位でも、この方平油を塗ると良い。


◎竹が刺さった時の奇方
処方:鹿の目玉
製法用法:陰干しにして**と練り混ぜて、患部につける。または、飯糊と混ぜても良い。

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Author:鈴木 覚
埼玉県で薬局を開局しています。
漢方の勉強と趣味を兼ねて資料を集めている内、虫類にも面白い薬効があることに気がつきましたので2006年からブログをはじめ、今までご紹介してきました。
是非多くの方々に虫類の薬効を広く知っていただければ幸いです。
初めての方は【第1号】はじめに をご覧ください。

ご質問ありましたらtwitterにて。
ただし、虫に関する話題に限ります。



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