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【昭和薬局】薬剤師  鈴木 覚
〒351-0035 埼玉県朝霞市朝志ヶ丘1-2-6-106
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第221号 クシャミ療法

クシャミを起こさせて、病気を治療する、という面白い治療法があります。

「中国民間療法大典」という本には、様々な面白い治療法が記載されています。
千ページ余の大冊です。
再販の前書きによれば、現代中国で「我が国で第一の民間療法の大典」だそうです。
台湾でも出版され、日本語にも翻訳され、世界の30数カ国で、発行(何語かは、かかれていません)されているそうです。
とはいうものの、日本語訳は見たことがありませんが。

面白い治療法の一つが、クシャミ療法です。
「中国民間療法大典」中原農民出版社  1999年11月第2版  劉道清先生主編 より

小児の急性、慢性の驚風(キョウフウ:ひきつけ)   
◎犀角丸(サイカクガン)
犀角、麝香、牛黄、青黛、地竜各0.3g、朱砂、防風各30g、
蚕紙(カイコの卵が産み付けられた紙)1枚(焼く)、蟾酥(センソ)1.5g、
天漿子(てんしょうし:イラガの繭。雀瓮ともいう。)、蝉退(センタイ)各27匹分、
烏梢蛇(ウショウダ)の肉15g、を一緒に細かい粉にする。
それに、ハチミツ適量で練って、黍の実くらいの大きさの粒にする。
その1粒に水を加えて溶かし、鼻のなかにたらし、くしゃみを起こさせる。

☆犀角丸の解説
犀角丸の内容は、大変面白いので、特に解説します。

犀角:犀(サイ)の角(つの)。哺乳動物のサイ(リノ)のツノのことです。
現在は、絶滅危惧種で、ワシントン条約で、取引が禁止されています。
強い解熱作用があります。
意外でしょうが、ほんの少し前まで、日本で使われていました。
いまから、30年位前、私の薬局でも、ウサイカクサン(多分、烏犀角散という漢字)という、小児薬がありました。
子供の、風邪、解熱薬でした。
あまり、売れないので、いつの間にか、取り扱いを中止しました。
多分 今は無いでしょう。サイの角が手に入りませんからね。
成分表示には、間違いなく「犀角」が入っていました。
多分、麝香もはいっていたと思います。
当時は、変なものがはいっているな、と思っていました。

麝香:ジャコウ。ジャコウジカ(musk deer)の雄の腹部に麝香腺がありそこから分泌されたもの。
雌を引き付けるための匂い。生薬であり、香料でもあります。
いわゆる高貴薬で、大変高価です。
香水、オーデコロンのなかには、ムスクの香りというものがありますが、
その麝香、もしくはそれを模した香りをさします。
現在、入手困難な薬の一つです。
瀕死の病人に対しての、起死回生薬でもあります。

牛黄:ゴオウ。牛の胆嚢にできた石。つまり、牛の胆石。
石が出来るということは、病気。従って、たまにしか見つかりません。
千頭の牛を屠殺しても、一つ位しか見つかりません(数は、不正確)。
中国では、人工牛黄を作る研究がなされていますが、
今のところ、人工的に作ることが出来ません。
これまた、大変高価です。
清熱解熱薬となっていますが、その効能効果は、実に多彩で、簡単に説明の使用があります。
これまた、起死回生の薬でもあります。

青黛:セイタイ。植物。外用では、口内炎、扁桃腺炎などに効果があります。内服としては、咳に効果があります。

地竜:ジリュウ。大地にいる竜、つまりミミズのことです。
蚯蚓は、優れた解熱剤であり、ほとんどの新薬よりも、すぐれています。
しかも、副作用はありません。
大いに使われていいはずなのですが、偏見と無知から、一般的には使われていません。
解熱だけではなく、気管支拡張作用もあります。
ゼンソクや気管支炎で息苦しいのがすぐに楽になります。
現代的な用法では、アトピーのかゆみ、脳梗塞の後遺症などにも用いられています。
また、鎮静作用があります。
うちの薬局では、地竜の錠剤も顆粒も、扱っています。ものがものですから、あまり、使いませんが、ここぞという時に使うと、効き目は、実にシャープです。

朱砂:シュシャ。これは、水銀の化合物。硫化水銀。
当然、日本では使われていません。
しかし、中国の少なからぬ処方に用いられています。

防風:ボウフウ。これは、植物性生薬。まあ、面白くないですね。
発熱、悪寒、頭痛、関節痛などの症状に用います。
蚕紙:サンシ。蚕退紙(サンタイシ)ともいいます。
蚕に卵を生ませる時に、紙の上に卵を産み付けさせます。その紙を指します。
止血作用があり、崩漏(ほうろう:子宮出血の特にはなはだしいもの)、帯下(こしけ)、吐血、鼻血、血便に効果があるとされています。

蟾酥:センソ。いわゆるガマの油。ガマガエルの皮脂腺より、分泌された液。
きわめて毒性が強い。
強心作用があり、心臓の薬として用いられている。
そのほか、鎮咳作用、抗炎症作用などがあります。
ガマの油は、日本でも現役の生薬です。救心、六神丸の主剤です。
こんなの古臭いと思われるでしょうが、
現代医学(西洋医学)でも、心臓の薬として、ジギタリス製剤が、広く用いられています。
ジギタリスは古くから用いられて入る植物です。
これまた毒薬です。
動物植物の違いはありますが、強心剤が天然の生物系生薬であることは、東西で同じです。

天漿子:テンショウシ。イラガの繭。
雀瓮(じゃくおう:字義ではスズメのカメ)ともいいます。
木の枝に小さい卵のような形をして、付いています。
日本では、別名、すずめのたご、スズメの小便たご。
小児のヒキツケなどに用いる。

蝉退:センタイ。蝉の抜け殻。
蝉の抜けがらは、現代でも、ひっそりと使われています。
「消風散」という漢方薬の成分として使われています。
しかし、飲んでいる人は、セミの抜け殻が入っているとは、気が付かないでしょう。
風邪の熱、喉の痛み、声がれ、風疹の痒み、夜泣き、破傷風に効果があるとされています。
「セミの抜け殻は、皮膚のようなものである。
だから、皮膚病に効果があるのだ。」と、書いている古い医書もあります。

烏梢蛇:ウショウダ。黒い蛇なので、烏という字が入っている。
日本にはいない種類の蛇ですが、日本語で「くろへび」ともいいます。
面白いことに、この「くろへび」を「青大将」(浙江中薬手冊)と呼んでいる地区もあるようです。
もちろん日本の青大将ではありません。念のため。

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第220号 男性病に対する、虫類薬  その4

◎精子減少症

処方:蚕蛾(サンガ:蚕のオスの成虫)30g、鹿角膠90g、
仙霊脾、韮の種、炮附子各30g、菟絲子、にくじゅよう各35g、
石斛、覆盆子、桑寄生各18g、懐牛膝15g。
無精子症の場合は、上記の処方を、蚕蛾60g、仙霊脾100gにする。
死精子症の場合は、蚕蛾を60gとする。
腰痛を伴う場合は、陽起石を30g加える。
用法:菟絲子、肉蓯蓉、覆盆子は、白酒に12~24時間浸けてから、
しいところで乾燥させ、その他の薬と一緒に研いで粉にする。
最初に鹿角膠の粉に300mlの水を加える。弱火で煎じて沸かし、粉を溶かす。
さらに、黄酒100~200mlを加える。
つぎに、蚕蛾の粉を加えて、300ml前後になるまで濃縮する。
最後に上記の薬の粉を加えて混ぜ、30~40丸にする。
1丸は12g。朝夕に各1丸を服用する。20日を1治療行程とする。
効果:53例を臨床で観察した。49例(92.6%)が治療した。4例が無効であった。
31例が1治療行程、14例が2治療行程、4例が3治療行程であった。
出典:大衆医学 1984:6



処方:紫河車(シカシャ:胎盤のこと)、鹿角膠、
桑螵蛸(ソウヒョウショウ:カマキリの卵)各60g、
菟絲子、五味子、覆盆子、車前子、枸杞子、女貞子、当帰各30g、
何首烏、黄精、肉蓯蓉各60g
インポの場合は、海狗腎(カイクジン:オットセイの陰茎)4本を加える。
遺精の場合は、金桜子30gを加える。
用法:上記の薬を研いで粉にし、蜂蜜を加えて練って丸剤にする。
1日に2回、空腹時に1丸を服用する。40日を1治療行程とする。
服薬期間中は房事を禁止する。
効果:336例を治療した。265例が治療し、その妻が妊娠したのは、237例であった。
有効は31例、無効は40例であった。
そのうち、精子の?成活率が10%~30%であるのが262例であった。
うち231例が治癒した。
精子の発育不良が56例で、うち治癒したのは27例であった。
死精子は18例、うち治癒したのは7例であった。
出典:遼寧中医雑誌 1987:11




◎死精症
処方:紫河車、鹿角霜、鹿角膠、桑ヒョウ蛸(ソウヒョウショウ:カマキリの卵)各60g、
菟絲子、五味子、覆盆子、車前子、枸杞子、女貞子、当帰各30g、
首烏、黄精、肉ジュ蓉各60g
用法:上記の薬を研いで粉にし、80丸とする。1日に2回空腹時に1丸を服用する。
40日を1治療行程とする。
効果:338例の死精または精子発育不良の不妊の患者に投与した。
相手の女性が妊娠したのは、237例、有効は31例、無効は40例であった。
出典:遼寧中医雑誌 1987;(11):39

処方:地竜(ジリュウ:ミミズのこと)3g、黄花60g、熟地黄、菟絲子各30g、
当帰、赤芍薬、川芎各6g、紅花3g、牛膝9g
血精?の場合は、牡丹皮、知母各12gを加える。
精液不液化の場合は、黄柏、沢瀉、谷芽、麦芽各9gを加える。
精子が少ない、または死精の場合は、肉蓯蓉、巴戟、仙霊脾各15gを加える。
不射精の場合は、土元(しゃ虫:サツマゴキブリの仲間)、威霊仙、露蜂房各9g、
続断15gを加える。
精索静脈曲張の場合は、王不留行、路路通各9gを加える。
泌尿器系の感染の場合は、金銀花15g、木通6gを加える。
インポの場合は、制馬銭子粉1gを加える。
用法:上記の薬を水で煎じて、1日に1剤、服用する。
効果:服用後、相手の女性が妊娠したのは14例、無効は3例であった。
出典:中西医結合不育与不妊研究新発展


◎無精子症
処方:鹿茸(ロクジョウ:鹿の角)10g、鹿角膠60g、ゴウカイ(オオヤモリ)1対、
海狗腎(カイクジン:オットセイの陰茎)1対、紅参40g、
山茱萸肉60g、枸杞子、熟地黄、黄耆、五味子各80g
用法:上記の薬を一緒に研いで粉にし、蜂蜜で練って、
丸剤とする。1日に2回、1回に10gを服用する。
効果:5例の無精子症、不育症を治療した。治療後、精子数は日を追って増加し、
1mlあたり1億以上となった。

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第219号 男性病に対する、虫類薬  その3

「疑難病実用方薬」張秀成先生編著。北京科学技術出版社2000年10月 より

◎不射精症、
処方:蜈蚣(ゴコウ:ムカデのこと)1匹、
路路通、石菖蒲、仙茅、白朮、枸杞子、韮の種各12g、仙霊脾30g、
石斛10g、牛膝9g、
地黄、山茱萸、山薬、白花蛇舌草、補骨子、覆盆子、菟絲子各15g
用法:上記の薬を水で煎じて、2つに分けて、1日に1剤を服用する。
15日を1治療行程とする。
効果:289例を治療したが、227例(78.5%)が治癒した。
出典:北京中医 1988;(2):22


処方:地竜(ジリュウ:ミミズのこと)10g、穿山甲(センザンコウ)6g、
蜈蚣(ゴコウ:ムカデのこと)2匹、熟地、菟絲子、韮の種各15g、
枸杞子12g、路路通12g、丹参、王不留行各13g、
用法:上記の薬を水で煎じて、1日に1回服用する。
効果:51例を観察したが、48例(94.1%)が治癒した。
出典:中医薬学報 1987;2(6):35


処方:蜈蚣(ゴコウ:ムカデのこと)0.5g、馬銭子0.3g、冰片0.1g。
生露蜂房(ロホウボウ:蜂の巣のこと)24斤、麻黄、石菖蒲各18斤、
   虎杖30斤、杭白芍薬、当帰、甘草各12斤。
用法:蜈蚣(ゴコウ:ムカデのこと)、馬銭子、冰片は研いで粉にする。
   露蜂房以下は、煎じて濃縮して50立升にし、それに白糖をいれる。
用法:煎じ液50mlに、粉薬を入れて服用する。
効果:99例を観察したが、70例が治癒し、3例が好転し、26例が無効であった。
出典:中医雑誌 1986;9


処方:蜈蚣(ゴコウ:ムカデのこと)15g、威霊仙、生白芍薬各60g、
   急性子、当帰各50g、甘草30g
用法:上記の薬を研いで粉にし、水を加えて丸剤とする。朝夕各4gを服用する。
効果:21例を治癒したが、17例が治癒した。そのうち、11例が妊娠に成功した。
   1例が有効、1例が無効であった。
出典:全国第二届中医男性病学術検討会論文集


処方:しゃ虫(サツマゴキブリの仲間)、威霊仙、麻黄など
用法:上記の薬を沖剤にする。1袋を10gにする。
   房事の4~6時間前に、服薬する。
   30日を1治療行程とし、3治療行程連続で服用する。
効果:160例のうち、154例(96%)が治療し、6例が無効であった。
出典:天津中医 1985:9


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プロフィール

鈴木 覚

Author:鈴木 覚
埼玉県で薬局を開局しています。
漢方の勉強と趣味を兼ねて資料を集めている内、虫類にも面白い薬効があることに気がつきましたので2006年からブログをはじめ、今までご紹介してきました。
是非多くの方々に虫類の薬効を広く知っていただければ幸いです。
初めての方は【第1号】はじめに をご覧ください。

ご質問ありましたらtwitterにて。
ただし、虫に関する話題に限ります。



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