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〒351-0035 埼玉県朝霞市朝志ヶ丘1-2-6-106
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第257号 広文庫における「蛭」の記述 その2

田蛭  
『延暦儀式帳』
五十鈴川(原文では、伊鈴の御川)より、水を引いた(神の)田では、(肥料としての)苗草を敷かない。
・・・・・・五十鈴川から水を引いた田には、 田蛭は、穢れであるので、田蛭を我が神の田には住ませてはならない。
それで、今の世には、(肥料としての)苗草を敷かないので、田蛭も住んでいない。
(注:難解な文なので、一部省略しました。
水田に苗草=なえくさ、を肥料として与えると、蛭がわくとして、このように、神の田には苗草を敷かない、となったのでしょう。五十鈴川は、伊勢神宮の傍らを流れている川で、神聖な川です。)


馬蛭
『和名抄、十九』
馬蛭 本草に、馬蛭と云う。別名を馬蜞(和名は、むまひる)。蛭の大きいものである。

『桃洞遺筆、肇輯、三』
清の韓則癒の「雁山雑記」に云う。雁山の春夏には、馬蜞が多い。物を毒し、よく人を噛む。血が流れて止まらない。
焼いた竹葉でもって、傷に塗れば、血はたちどころに止まる。
今、淡竹葉を焼いて、試してみると、非常に効果があった。
馬蜞は、別名を馬蛭、和名をウマビル(古名)、またクマビル(今の名)と云う。梅雨に多く出る。
大きいのは、三、四寸ばかりもある。

山蛭
『本朝奇跡談、二』
伊勢の国にある、紀州藩の領内田丸領間弓村の中に、唐子谷という所に、猪草淵という、交通の大難所がある。
普通の通路の途中に、幅十間ばかりの川がある。その川の上に、杉の丸太をかけてあてって、人が往き来する。
橋の高さは、川より十間ほどである。この橋の上を渡るのは、非常に危険である。
橋の下は、青々とした淵で、深さがどの位あるかわからない。
このあたりに、山蛭という虫がいる。手足に取り付いて、人を悩ませる。
また、壁虱(ヘキシツ:ダニのこと)という蟲が多い。これまた、体に取り付いて害をなす。
全てこのあたりは、下等な未開の土地であり、住民の男女の見分けがつかないほどである。

『煙霞錡談、一』
夏秋、暖かい季節には、山蛭が甚だ多い。
「蛭の地獄」という言葉があるが、極寒の季節には、蛭を用意できるのだろうか、と疑問に思う。
この山に限らず、猿の住む山には、山蛭がいる。それは、山蛭は猿の糞から生じるからである。

青蛭
『翁草、六』
北高麗にある泥海に犬を追い込むと、青い蛭が犬の毛にまとわりつく。それを取って干すと、「緒じめ」となる。
これを、「蟲の巣」と称する。
それを取ってから半年のうちに「緒じめ」に水分を与えれば本の蛭となる、と云う。


草蛭
『和名抄、九』
草蛭、本草に云う草蛭のことである。和名、かさひる。蛭の草上に在るものである。

木蛭
艮斉間話、上
ある人云う。伊豆は木蛭の多いところである。人の声を聞けば、樹上より続々として来、人を噛む。
その鋭い口は、錐のように鋭く、血が流れ出ることおびただしい。恐るべき毒虫である。
この「蛭が小島(現在の静岡県伊豆の国市)」には、特に蛭が多いので、名づけられた。
昔、平清盛は、頼朝をここに配流して、木蛭の毒で害しようとした、と聞いた。
本当のことかもしれない。
清盛が頼朝を殺さずに配流し、後になって、平家が滅亡させられた。
それは、清盛の大いなる誤りであった。


蛭を治療に用いる。
『西国事物紀原、二』
水蛭を治療に用いたのは、古代ローマの医師的米孫(テミソン)が始めである。テミソンはキリストと同時代の人である。


以上で、広文庫における「蛭」の記述、終わり。


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プロフィール

鈴木 覚

Author:鈴木 覚
埼玉県で薬局を開局しています。
漢方の勉強と趣味を兼ねて資料を集めている内、虫類にも面白い薬効があることに気がつきましたので2006年からブログをはじめ、今までご紹介してきました。
是非多くの方々に虫類の薬効を広く知っていただければ幸いです。
初めての方は【第1号】はじめに をご覧ください。

ご質問ありましたらtwitterにて。
ただし、虫に関する話題に限ります。



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